『劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア』感想:格闘に宿る坂本節

劇場版「リバイス・ドンブラザーズ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映 (C)テレビ朝日・東映AG・東映

圧巻のヒーローアクション。ドンブラザーズから一任されただけあります。

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作品情報

2021年9月から放送されている『仮面ライダーリバイス』の劇場版作品。テレビシリーズと同じく木下半太が脚本を担当し、『仮面ライダーフォーゼ』のメイン監督などで知られる坂本浩一が監督を務める。同時上映は『暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE 新・初恋ヒーロー』と『お昼のショッカーさん THE ムービィー』。

原作: 石ノ森章太郎
出演: 前田拳太郎 / 木村昴 / 日向亘 / 井本彩花 / ケイン・コスギ ほか
監督: 坂本浩一
脚本: 木下半太
公開: 2022/07/22
上映時間: 62分

あらすじ

ハイジャック事件発生!!首謀者・アヅマによって、”禁断の地・エリア666(トリプルシックス)”に囚われてしまう元太と幸実。五十嵐三兄妹は、両親と乗客たちを助けるべく、禁断の地へと急行する。三兄妹の前に立ちはだかるアヅマは、その手に握られた異形のベルトによって<仮面ライダーダイモン>へと変身し、人類の存亡をジャッジすべく、ライダー達に襲い掛かる。
そのころ、元太と幸実の前に現れた謎の科学者・外海は、衝撃の目的を明かし、五十嵐一家を追い詰めていく。仕掛けられた罠によって最大の危機が迫る時、<最強家族>の絆が奇跡を起こす――!?
一輝とバイスが、アヅマとの壮絶なバトルの末に掴み取るのは、<最強バディ>の揺るぎない絆か、それとも――。

劇場版 仮面ライダーリバイス/暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE | 2022年7月22日(金)公開より引用
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レビュー

このレビューは『劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア』をはじめとした、『仮面ライダーリバイス』関連作品のネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

劇場版ならではの豪華さ

2001年以降、夏休み恒例となっていた仮面ライダーの劇場版。ただし昨年は、スーパー戦隊とのコラボ映画を公開した関係で製作されませんでした。そのため単独作品の劇場版は、『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』(2020)以来となります。

仮面ライダー生誕50周年を記念して作られた『仮面ライダーリバイス』(2021-22)。銭湯を営む五十嵐家の長男である一輝が、自身に宿る悪魔「バイス」と一緒に、仮面ライダーとなって敵と戦う。弟の大二や妹のさくら、父親の元太までもがライダーに変身するのが特徴的です。

昨年9月に放送を開始し、映画公開時期にはクライマックスを迎えているテレビシリーズ。本作の時系列は、第46話と第47話の間に位置しています。とはいえ直接的には絡んでいないストーリーなので、テレビ本編をそこまで追っていない人でも理解できるつくりになっています。

作品が上映される順番は、ドンブラザーズ、お昼のショッカーさん、そしてリバイス。ドンブラザーズの前には「NO MORE 映画泥棒」が差し込まれます。映画館ではお馴染みの映像ですが、今回流れるのはリバイとバイス、ドンモモタロウが登場する限定バージョン。特別感があって楽しい。

例年の夏休み映画と同様に、上映時間は約60分なので、かなりテンポ良く話が進んでいきます。目まぐるしく舞台が移動していくこともあり、ダレる箇所はありませんでした。

五十嵐兄妹が両親を空港で見送るところから、物語は動き出す。二人が乗った飛行機は、アヅマを中心とした一味によってハイジャックされる。彼は数千年前に、悪魔の始祖「ギフ」から力を授かった不死身の人間。ギフが倒されたため、五十嵐家の持つギフの遺伝子を狙っていた。

事件を知った三兄妹は、ジョージ・狩崎や門田ヒロミに協力を仰ぎ、飛行機が向かった場所「エリア666」へ。空中から急襲するも、アヅマが変身する仮面ライダーダイモンの凄まじい強さの前に屈してしまう。

家族全員が捕えられた絶体絶命の状況で、五十嵐家の母・幸実が強大なパワーを発揮する。その力が生み出したスタンプを使い、三兄妹は一体となって仮面ライダー五十嵐に変身。窮地を脱した彼らは、乗客とともにエリアから脱出する機会を伺っていた。

今作の良さは、テレビ本編では見られなかったものの、視聴者が見たかった展開を見せてくれる点です。例えば、元デッドマンズの3人。身柄を拘束されていたオルテカと、主人公サイドに転じた夏木花と玉置豪が一同に揃い、決め台詞を言う場面は否応にもテンションが上がりました。

ハイジャック事件の首謀者は、ジョージに憑いていた悪魔「シック」。元太・大二・さくらの3人が、彼の相手をします。デストリーム、ライブ、ジャンヌの親子同時変身が見られるのも嬉しい。アギレラとオーバーデモンズを含め、本編のライダーが勢ぞろいするあたりには、お祭り感がありました。

偉大なる母

テレビシリーズには元太をはじめとした様々な「父」が登場し、家族もしくは擬似家族における父親の存在にフォーカスがあたっています。それに対して、この劇場版では母親という存在が、テーマの一つに掲げられています。

物語序盤、幸実は圧倒的なパワーで敵を怯ませ、子供たちに新たな力を与える。彼女がなぜこのような力を持っているかは謎であり、突如の発現に彼女自身も驚いていました。その場の全てを凌駕する強大さには、面白さすら感じました。

この展開に代表されるように、ストーリーの雑さは所々に見受けられます。ハイジャックされた飛行機には、臨月を迎える妊婦が乗り合わせていました。この前提があまり現実的ではなく、母というテーマ性のためだけに、ご都合主義的に登場したキャラクターに見えました。

アヅマとの戦いが終わったエピローグにて、妊婦はバスの中で無事に出産を終えます。新たな命が誕生する感動的なシーンとはいえ、出産する環境の不自然さがノイズに思えてしまいました。

シックの人間態である外海雅人を演じる、八嶋智人さんの怪演は素晴らしく、奇怪な言動の中に狂気が潜んでいました。事件の詳細やアヅマの経歴について、彼が序盤で全て教えてくれます。上映時間が限られているため仕方ないですが、台詞で説明しすぎのように感じる場面ではありました。

本作のスピンオフとして、ドラマ『Birth of Chimera』が東映特撮ファンクラブにて配信中。劇場版のオリジナルキャラである大谷希望の視点で語られる前日譚です。なのでもし鑑賞できる環境であれば、このドラマも一緒に観るのを推奨します。

近年の仮面ライダーシリーズは、本編の物語に密接したスピンオフ作品が増加しています。それに伴い、視聴者がスピンオフを観ている前提で、大筋の物語が語られる傾向にあり、テレビシリーズにおける説明不足が指摘されることもしばしば。

今作に関して、希望の出番はそれほど多くありません。しかしながら彼がどういった背景を持っている人物なのか、スピンオフの場面を挟み込むことで端的に描いています。個人的には劇中での描写が不足しているとは思いませんでした。

希望を演じているのは、人気アイドルグループJO1の豆原一成さん。仮面ライダーシリーズのファンとして知られています。彼目当てで映画館に足を運んだ方もいたでしょう。一箇所でもいいので、彼が変身する仮面ライダーキマイラが勝利する展開が欲しかったです。

卓越した格闘アクション

今作で何より特筆すべきは、圧巻のバトルシーン。監督の坂本浩一さんは、『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』(2010)や、『仮面ライダーフォーゼ』(2011-12)関連の映画で監督を務めていました。『リバイス』に関しても、テレビシリーズの数話に携わっています。

坂本さんは他の特撮監督とは明らかに異なる、独自の作家性を持っています。中でも本作は、その作家性が色濃く出ている映画。彼の作品には、大きく二つの特徴が挙げられます。

まずは素面でのアクション。変身後同士の戦闘シーンがメインではありますが、坂本監督は変身前の生身の人間が怪人たちと戦う展開を、しっかり演出してくれます。殺陣は見応えがあり、緊迫した映像に仕上がっています。

アヅマを演じるのは、過去に複数の特撮作品に出演し、アクションを得意とするケイン・コスギさん。格闘スキルの高さからキャスティングされたそう。若々しいお顔立ちも相まって、不死身な肉体という設定の説得力が増しています。

いざ本編を鑑賞すると、代役なしでの体を張った演技に圧倒されます。回転しながらバスを飛び越す、序盤のアクロバティックなスタント。ご本人が投稿しているこの映像からも、身体能力の高さが一目で分かります。

クライマックスで直接対峙した一輝とアヅマは、正々堂々と拳を交える。このバトルシーンは、間違いなく今作の白眉と言えます。お互いの技がテンポ良く肉弾戦が繰り広げられ、最後には空中での回し蹴りまで披露してくれます。観ていてお腹いっぱいになりました。

ケインさんと互角に渡り合っている、一輝役の前田拳太郎さんのアクションも突出しています。ケインさんだけでなく、空手経験がある彼のポテンシャルの高さがあってこそ、クライマックスの一騎打ちの映像が成り立っていることでしょう。

不死ゆえに常に孤独だったアヅマ。彼の散り際には哀れみが溢れており、最初から最後までカッコいい、非常に魅力的な悪役に演出されていました。

五十嵐家の面々やデッドマンズなど主要人物全員に、戦闘での見せ場が用意されています。キャラクターの戦い方をそれぞれに変化させていることで、そのキャラらしさを際立たせているのも、特撮ならではの巧みな演出でした。

特に元太役の戸次重幸さんのアクションは、見どころに思われます。バスの中という狭い空間でのバトルには緊張感があり、敵の頭部を足ではさむ姿は、全く年齢を感じさせませんでした。

もちろん変身後のライダーアクションも素晴らしく、ここに坂本監督のもう一つの特徴が表れています。その特徴は、連続したフォームチェンジ。『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX』(2011)をはじめ、監督が描くライダーの戦い方には、テレビ本編とは一線を画す贅沢さがあります。

本作ではリバイとバイスが、バイスタンプを次々と使い、華麗にフォームを変化させながら敵を倒していきます。テレビシリーズの中盤以降では、ほとんど使われなくなったアイテムなので嬉しいところ。ここまで述べたバトルシーンのクオリティの高さは、ストーリーの粗さを覆い隠しているように思いました。

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最後に

坂本監督作品が好きな方であれば、確実に楽しめる出来となっています。至高のアクションをぜひ観ていただきたいです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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