『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』感想:家族と約束と50周年の色々

「ビヨンド・ジェネレーションズ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

期待するほうが悪いのか、期待させるほうが悪いのか。

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作品情報

仮面ライダーシリーズ50周年を記念したアニバーサリー映画。現行『リバイス』と前作『セイバー』の面々が共演し、50年後の未来を変えるための戦いに挑む。両作品のキャストが勢ぞろいするほか、物語のカギを握るゲストキャラとして古田新太と中尾明慶が出演する。

原作: 石ノ森章太郎
出演: 前田拳太郎 / 木村昴 / 内藤秀一郎 / 古田新太 / 中尾明慶 ほか
監督: 柴﨑貴行
脚本: 毛利亘宏
公開: 2021/12/17
上映時間: 97分

あらすじ

人間が悪魔に支配された2071年より来た、仮面ライダーセンチュリー。
そして過去からも謎の科学者もやって来た・・・。
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仮面ライダーは、なぜ戦うのか。誰のために戦うのか――
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2021年を舞台に、100年にわたる壮大な物語がいま、始まる!

『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』WEB本予告 – YouTubeより引用
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レビュー

このレビューは作品のネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

50周年の締め括り

漫画家・石ノ森章太郎の手によって作り上げられた、バッタモチーフの戦士「仮面ライダー」。仮面ライダーこと本郷猛を藤岡弘さんが演じた、テレビドラマの放送が1971年にスタート。自身を改造人間にした悪の組織に立ち向かう様子は、全国の子供たちを魅了しました。

以降、作品を越えて受け継がれてきた仮面ライダーの冠。2021年はシリーズ開始から半世紀を記念したアニバーサリーイヤーであり、それに伴って様々な企画が発表されています。

1971年の放送開始日と同日である4月3日には、3つの大きな企画が発表されました。1つ目は『仮面ライダーW』の後日談を描いた漫画『風都探偵』のアニメ化。脚本家・三条陸さんによって紡ぎ出される新たな物語の映像化に注目が集まっています。

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東映の特撮作品「仮面ライダー」が今年の4月3日、生誕50周年を迎えました。それを記念した新作映画やアニメなど、たくさんの企画が発表されています。

2つ目は『仮面ライダーBLACK』のリメイクである『仮面ライダーBLACK SUN』の製作発表。『凶悪』(2013)や『孤狼の血』シリーズの白石和彌さんが監督を務めることで話題を呼びました。後に主人公二人を西島秀俊さん、中村倫也さんが演じると発表され、キャストとビジュアルの本格さに期待が寄せられています。

最後は庵野秀明さん脚本・監督による『シン・仮面ライダー』の製作発表です。『シン・ゴジラ』(2016)や『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』(2021)を手掛けた庵野監督。1号たちを見て育った監督がどのようなストーリーを生み出すのか。まだまだベールに包まれています。

3作とも、どちらかと言えば「大人向け」コンテンツに分類されると言ってもいいでしょう。もちろん子供でも十分に楽しめるものになると思われますが、メインターゲットとしてはBLACKやWなど元の作品のファンが予想されます。

子供たちをメインターゲットとした連続ドラマとしては、ニチアサ枠で『仮面ライダーセイバー』が同時期に放送されていました。

7月には、その劇場版として『スーパーヒーロー戦記』が公開。シリーズの生みの親である石ノ森先生の人生にフォーカスをあてました。メタ的な視点を取り入れつつ、彼の生涯を通して、物語を創造する意義やその伝承の重要性を伝えています。

そしてセイバーからバトンをもらい、9月から放送が始まっているのが『仮面ライダーリバイス』。二人の戦士・リバイとバイスが主役であり、バイスは人間ではなく悪魔が変身する、といった型破りな設定です。

『リバイス』には50周年記念という冠もついており、歴代シリーズの要素も見受けられます。作中のキーアイテムであるバイスタンプ。それによって生まれるライダーや怪人のデザインには、昭和や平成の歴代ライダーのエッセンスが盛り込まれています。

そんな激動の2021年の暮れに、今作は公開されました。昭和、平成、令和にいたるまで、駆け抜け続ける仮面ライダーシリーズの最新作。セイバーとリバイスのクロスオーバーであるとともに、50周年の締め括り的な内容の映画となっています。

家族と約束の物語

本作のタイトルは『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』。まさに世代を超越して、ストーリーが展開していきます。

映画が始まると、2071年の日本が映し出されます。そこは現代とは異なり荒廃しており、悪魔が世界を支配し、人間は下級悪魔に奴隷のように扱われていた。そういった中、中尾明慶さん演じる謎の青年・百瀬龍之介が、謎のベルトを使って50年前=現在にタイムスリップする。

2021年、強大な力を持つ悪魔・ディアブロが、永い眠りから復活を遂げる。龍之介が現代に来た目的は、仮面ライダーセンチュリーに変身してディアブロを倒し、未来を変えるためだった。

彼は精神体のため、同じ遺伝子を持つ百瀬秀夫の身体を媒介しないと変身できない。しかし秀夫は、過去に自身との約束を破った龍之介を嫌っており、変身を拒否するのだった。はたして敵の世界侵略計画を阻止できるのか、というのが大筋の話の流れです。

このストーリーの素晴らしい点が、現行作品である『リバイス』と前作『セイバー』、それぞれのテーマが上手く脚本に落とし込まれているところです。

セイバー本編で強調されていたのが「約束」。セイバーでは、約束を守ることの大切さを繰り返し伝えていました。

このキーワードは、この劇場版でも重要な意味を持っています。物語においてキーポイントとなっている、龍之介と秀夫が交わした「一緒に新幹線に乗る」という約束。約束を無下にしないことの大切さ、そして約束を破ってしまっても相手との関係は修復できること。こういった本編とも重なるメッセージが込められているように感じました。

また最終決戦を前にして、リバイとバイスの間である約束が交わされます。信頼関係のうえに約束は成り立っているんだなと感じ、改めて約束は必ず守ろうと思わされる場面でした。

セイバーの後日談にもなっているこの作品。ヒロインの芽依と倫太郎の仲がどのように深まっているのかが語られており、ほっこりしました。二人の関係性が決定的に変化する瞬間は描写していない点も、個人的には良かったです。

芽依と倫太郎、あるいはソードオブロゴスのメンバーの関係性は、家族にも似ています。リバイスの大きなテーマとなっているのが、まさに「家族」。

主人公であり五十嵐家の長男の五十嵐一輝は、仮面ライダーリバイに変身してデッドマンズと呼ばれる敵と戦っています。そんな中で、弟の大二や妹のさくらも変身する力を獲得。一輝は当初、二人が戦いに身を投じることに過度な心配をしていました。しかし兄妹で互いに信頼したことで、力を合わせるようになるのでした。

劇場版のオリジナルキャラである百瀬親子にも、「家族を大切に」といったメッセージが込められています。二人が仲直りをし、センチュリーに変身して、世界を救う。ベタではありますが、重要で普遍的な想いが見て取れます。

他にもリバイスの要素は大きく、特にバイスの「第四の壁」を越えて観客に向けて話しかける場面は多々ありました。本編とは比べ物にならない程におしゃべりで、ツッコミがいのあるボケの量。声をあてている木村昴さんの全力演技も相まって、非常に楽しかったです。

現在プチブレイクを果たしているアギレラ様。彼女率いるデッドマンズの三人は、出番は多くないながらも、ディアブロの配下としての役目を担っていました。登場キャラが多いながら、三人とも印象に残る活躍でした。

渋滞するアニバーサリー要素

現行ライダーと前作ライダーが共演し、強大な敵を倒す。『仮面ライダーW』以降に恒例となっている「冬映画」と呼ばれるシリーズに位置付けられている本作。「MOVIE大戦」や「平成ジェネレーションズ」がこれに該当します。

前述したリバイスの劇場版としての側面と、セイバーの後日談としての側面。この二つに加え、50周年を記念した今作には様々な要素が組み込まれています。個人的には、この50周年要素が蛇足であるように感じました。

まずは歴代の仮面ライダーが登場する点。とはいっても、「平成ジェネレーションズ」のように変身前のキャストが出演するわけではありません。劇中ではクローンライダーと呼ばれており、スーツ姿のみが登場します。

作品終盤でライダーたちは、センチュリーの力を使って未来に行き、龍之介の身体を悪魔から守る組と、現代でディアブロを倒す組に分かれます。未来に行く組は、精神体のため未来では変身ができない。彼らが戦うために、クローンライダーを身にまとうのです。

このあたり、わざわざクローンライダーを使う必要がないように感じざるを得ません。それまで歴代作品に対する伏線のようなものもなく、唐突な印象を受けます。敵として立ちはだかるデビルライダーの設定も、そこまで深堀りされないままで、不要感が凄い。

歴代主役ライダーが出てくるエンドロールも、取ってつけただけな印象が拭えません。というのも、映画本編で1号以外の仮面ライダーが全く話に絡んでこなかったからです。

続いて挙げたいのは、1号まわりのエピソード。本作では、藤岡弘、さんのご子息である藤岡真威人さんが、本郷猛役を演じています。かなり50年前当時に寄せた演技をしていて、再現度が高かったです。

しかしながら、ラストの本郷猛から龍之介への「感謝している」という言葉に少し違和感を感じました。自身を改造人間に変えたショッカーの研究者への感謝の言葉。本郷猛を聖人化しすぎていないかな、と思いました。

リバイス、セイバー、歴代ライダー、1号、さらには50周年ならではの舞台設定。これらを一本の映画にまとめるために、今までの劇場版と比較すると、かなり複雑な設定になっています。そしてその設定を中盤で、一から十まで長尺で台詞で説明しているので、映画として不格好な気がしました。

なおかつストーリー自体は、予想の範囲を超えてきません。予想通りの展開が続いたまま、エンドロールが来てしまったので、残念でした。

タイトルロゴが表示される直前に、50周年記念のロゴを映した映像が挿入されます。歴代の仮面ライダーの戦闘場面が、ロゴの赤い箇所に次々と映し出される。MCU作品の本編前に挟まるマーベルロゴの映像を彷彿とさせます。といいますか、完全に意識しているのは明らか。

『スーパーヒーロー戦記』と同時上映された『仮面ライダーリバイス』の短編でも、この映像が使われていました。子供向けコンテンツという枠組みから、幅広い層が楽しめる、そして海外の人達も楽しめるものにしたい、といった想いが感じられます。

ただしこのパクリ感からは、どうしてもMCUとの比較を強いられます。果たして今作は、MCUのようなクオリティに到達しているのか、と考えさせられました。

ディアブロにより荒廃した50年後や、1号とショッカー研究者。それぞれが単体の作品で観てみたい魅力的な設定なのは違いありません。要素を絞って、一つのものをもっと深堀りしてほしかったです。

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最後に

リバイスやセイバーが好きな人にとっては、テレビシリーズの番外編としてとても楽しめるのは間違いないでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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